ブライア・ケトローサ 「 私とトレッツ症候群」



皆さんはトレッツ症候群についてご存じでしょうか。今日私はトレッツについてお話ししたいと思います。
 
現在アメリカには、トレッツがある人は二十万人以上です。男性は女性の三、四倍ぐらいありますから、アメリカ人男性なら生活がトレッツに影響されている人は七百人中一人の割合です。
 
トレッツについて何も知らない人が殆どだと思いますので、始めに、トレッツはどういう病気かということ、その原因と治療、そして私の経験の話をしたいと思います。
 
トレッツには色々な症状がありますが、一番共通しているのは引きつりです。引きつりは無意識にやるのはなく、ちょっと痒くなることのようです。引きつる 前に顔とか、手を動かす衝動が突然やってきて、すぐそれをしないと不安になるのです。それで、普通は不安にならないように引きつるという現象が起きるので す。特に何もしていない時にはコントロールできますが、それもかなり難しいです。
 
他の症状も沢山ありますが、よくあるものの一つはOCD(すなわちけっぺ き症)です。この症状を持っている人はある行動を何回も繰り返します。例えば、寝る前にドアにきまった回数、たとえば十回鍵を掛けることとか、トイレを 使ったあときまった時間、たとえば五分間も手を洗うケースもあります。普通の引きつりに比べ、このけっぺき症のために、日常生活が非常に困難なものになる 人もいます。大変時間が掛かかって、時には危険なことにもなるかもしれません。憂鬱、ADD(つまり集中できないこと)もトレッツがある人には共通なもの です。
 
どうしてトレッツになるかということはまだ解明されていず、トレッツの遺伝子があることはありますがその遺伝子をひきつがなくてもトレッツになる人もいます。
 
トレッツは子供時代に出て、青年期までにだんだん悪くなるのが普通です。 成人して、症状が全部なくなる人もいますが、大半は同じ状態で続きます。そして症状は日によって強くも弱くもなり、ストレスがある時とか、風邪を引いてい る時とか、眠い時には症状が増え、元気な時には症状が減ります。その治療法はまだ見つかっていません。色々な症状をなくすための薬はあっても、副作用のた めに症状が極めてひどい場合以外は使わない方がいいと言われています。
 
実は私は小学生のころから自分に珍しい症状があることに気ずいていました。当時まだひどくなく、十三、四歳までまったく気にしませんでした。だんだん症 状がひどくなって、ある時好奇心から父に聞いたのです。神経科医の父は私にトレッツという症候群があるということを話してくれたのです。聞いたことはあり ましたが、子供の私には全然分らない病気でした。父に簡単に説明をしてもらい、私の見る目が少し変ってきました。
 
父のすすめでみてもらった小児科医も父と同じ診断でした。医者のところから帰るとすぐ親しい友人達にこの話をしましたが実際に気ずいていたのは一人か二 人だけだったということに私はびっくりしました。「ええ?本当?全然知らなかった」あるいは 「トレッツって何?病気なの?」とよく言ったんです。皆が私の状態に気付いていると心配していた私はほっとしました。その時も今も、トレッツがあるために 恥しいという思いはありません。ただ他人に哀れんでもらうのは絶対いやだったんです、友達に「病気のことに気をつかわないで」と頼みました。
 
私の場合には症状は極めて軽いのですが、悪い日には皆視線が私に向けられ ているんじゃないかと感じることがあります。例えば、授業中に同級生が先生じゃなくて私を見つめていることもあります。別に構いませんが、以前には自信を 少しなくしたりもしました。それはトレッツがあったからではなくて、完ぺきに自分で自分を制することができなかったからです。
 
またある時にはトレッツのために先生が私に対し、あまくなるんじゃないかと考える時もあります。もちろん、正解が一つある試験では客観的な点をもらうのは 当然ですがそういう試験は成績の一部だけなので、他の主観的な点はどうなのだろうかと私は気になります。授業中の議論とか討論に参加している時、先生の意 見が私の意見と一致するのは本当に先生がそう思うからだろうか、先生は私の気持ちに注意を払い過ぎているんではないか。心配のしすぎかもしれませんが、人 に哀れまれるのだけはいやです。世の中、だれしも何かの病気とか症候群があると思います。人を哀れむのは無理なことだと思います。もちろん、トレッツは病 気の一つですが、症状が軽い場合にはいい点もあります。私トレッツのために我慢強い人間になった気がします。症状が悪い日には自分への怒りを静めて、頑張 ることになるんです。また、トレッツがあるおかげで私はいつも悪いことも良いことに変えようと頑張ります。けっぺき症も役に立つ場合があります。中学生の ころ少し太っていて運動嫌いの私は何もしませんでした。でも高校入学と同時に体重を減らすため一所懸命頑張って、毎日毎日一時間歩くことも自然にできたん です。つまり運動が一つの儀式になって、しやすくなったんです。
 
トレッツは私にとって小さな問題であり、また多くを学びましたが、この病気のために本当に苦しんでいる人がいます。この病気に何もいい点が見つけられな い人々がいるのも事実です。そんな人を見かけることがあっても、病気だと決めつけたり哀れんだりしないで、そのままの人として、あつかってください。