マイケル・ピット 「京都とミッドウェストのつながり」



僕は京都に留学して、とてもいい経験をしました。留学中、東京とか大阪など色々な所を訪ねましたが、一番好きなのはやはり京都だと気がつきました。ところが、同じ留学プログラムの学生たちのほとんどが京都より東京や大阪の方がいいと思っているようでした。その学生たちの大多数はアメリカ東海岸出身だったんです。これに対し僕は、ボストンで勉強しているとはいっても、心はまだイリノイ州の田舎者なんです。そして、アメリカの中西部、いわゆるミッドウェスト出身であるからこそ、僕は京都が好きなんです。

中西部と京都は何が共通しているのでしょうか。文化や歴史ということではなく、むしろ住人や住人の価値観のことだと思います。それでは、京都と中西部の住人について考えてみましょう。

京都の住人がどうして京都に住むようになったかというと、多くの場合は、ただ先祖が昔から京都に住んでいたんだということでしょう。人々は、千年も日本の首都であった立派な京都、ここの住人としての誇りを持っています。中西部の人々もそれに比べられる誇りを持っていると思います。もちろん、中西部は京都ほど長い歴史はないし、それに京都ほど立派な所ではないけれども、開拓以来ずっと住んでいる家族が少なくはないと思います。その農民の家族が持つ誇りとは何でしょうか。本当に何もない所を汗と力で畑を作ったり、町を築いたり、暮せる所にした、と農民の誇りともいえるものを持っているのです。これは、昔からいる京都人と同じように、土地につがっているものです。こういう人々は住んでいる所に深く愛着を持ちます。

そして、京都、また中西部にも新しく来る人もいます。では、人はどうして京都に移って来るのでしょうか。やはり落ち着いていて、安定している町としての京都が感じられるからなのでしょう。中西部も同じで、落ち着いた所で家族を持ち、生活することが人生で一番大切だと思うんです。

もう一つ京都と中西部の住人には共通点があると思います。それは、物事の今の状況を維持したい、変化を望まないという価値観のことです。昔から住む人々の場合は、町が変われば自分とその町とのつながりが薄れるので、変化を妨げたいのです。新しく来た人々も、町の魅力的な落ち着きを保ちたいので、変化を好まないのでしょう。この、このままでいい、このままで充分、伝統を守りたいという価値観は京都にも中西部にもあると思います。

多分アメリカ東海岸の人々より中西部の人々の方がこの価値観が分かると思います。東海岸はニューヨークがあり、現代、つまり超モダンに深くつながっています。歴史はあるけれど、いつももっともっと先を行きたい、変わりたい、現代的になりたい、と感じられます。ですから、むしろ歴史もなにもないミッドウェスト人の方が京都を理解出来ると思います。

実は、僕は京都に行ったことによってミッドウェスト人としてのアイデンティティーが確認出来ました。京都に住むうちに、自分がミッドウェストという土地にどれほどつながっているかを理解するようになったのです。将来いつか、ミッドウェストに戻りたいと思います。そして、あの懐かしい京都にもできるだけ戻りたいと願っています。